遊具のない遊び場

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読み終わり

 リチャードパワーズの「オーバーストーリー」を読み終えた。つい昨日。少し読むのに気力を使ったが、そこそこ楽しく読めたように思う。

 

 オーバーストーリーはなんの意味もなく暇だったので本屋に立ち寄り、買った本。一応リチャードパワーズの名前は知っていたけど長編だったので手が伸びずらかった。にしても4300円はまぁまぁ冒険だっだと思うけど。 その場には年上の人がいて(その人は全然本を読まない)迷っているのなら買った方がいいと言われた。けど本棚にはアリスミスの秋もあってどっちを買おうか迷った。どっちが面白そうか比べようと思ったけどできなかった。だから木がテーマの方を手に取った。そっちの方が私に対して親密だった。時に自分の環境と関心が目の前の小説と重なる時があるように思う、それだった。だから、とは続けたくない。正直、小説を買うのに意味をつけすぎるのは怖いから。あるいは私は初めてに惹かれていたのかもしれないとか言っておこう。

 

読み終わるには3週間ぐらいかかった。その間にいろいろな音楽を聴いたし漫画も読んだけど、かなり進みかたは遅かった。思ったよりもジャストミートしなかった。私はジャストミートを期待していたのか…!

内容はネタバレのない範囲で感想を言う。それってめちゃめちゃ難しい。どうしようかな、考えさせられるとか書いておこうかな。新潮社に書いてある書評を読めばいいんじゃないかな。いやでも、残しておこう。2回目を読もうかなってなった時のために。

 

まず根の章は独立した短編集だと言っても過言じゃない。むしろテーマ性を感じられる。全員がそれぞれどのように木と関わっているのか分かるエピソードが書いてある。私は中でもニーレイが好きだった。貴方は? 1番目眩がしたのはミミ。時間を木で説明するのは素敵だった。でも、ニコラスがいなかったらこの本を最後まで読もうとは思えなかったかもしれない。引き込み具合がちょうど良かった。浜辺を走るカップルの女の方、追いつかれるようにわざと少し遅く走る感じ。イメージがバブルすぎるか(笑)

幹の章の最初は退屈だった。根の終わりが示唆する繋がりがよく見えなかったから(そりゃ根なんだから見えない)進むのが遅くなった。それに視点がたくさんありすぎて上手く乗れなかった。それにここはすごくゆっくりだった。なかなか話が進んでいる感じがしなかった。でも2回目ならもう少し楽しめると思う。だってほら、読んだなら分かるでしょ? 思い出してみてよ。時間の進み方がさ。 エコテロリズム、それで木の上に登るようになったらページはすぐに進んだ。でもやっばり遅かった。

樹冠の章は時間が終わった後の話。ある程度の結末が書いてある。さぁここからくれば大丈夫。あとは読むだけ。まぁ事件の決着について書かれている。エコに関する活動でいくら大儀があっても法は破れない。もちろん処罰が下る。そこが凄くいいなと思いつつ、でもやっぱなんだろうなと思う。確かに、主要登場人物の4人は間違いなくテロリズム的だったし、犯罪と言われればそうだろう。そこは大儀とか思想で正当性は生まれない。それは事実(時間軸の上で特定可能な出来事。主に完結しているもの)だから。でも事実(時間軸とともに進む出来事)は気付かれないだけでちゃんとあるしなと思う。

種子の章はすぐ終わる。

全体的にすごい力のある小説ではあると思う。けど、私はまだ視点がたくさんある小説をあまり読めていないからかもしれない。それと視点があるものであっても、それらは必ずひとつの出来事に集約されるものの方が多いかもしれないが(私が読んできた複数視点のものは全てそうだった)、オーバーストーリーは最後まで交わらないことがある、それこそ根っこではつながっているが、見える形で書かれているわけではない。だからこれは非常に新しいものであるようにも思う。それは現実そのものを書こうとする心意気があるように感じられる。嬉しくなっちゃうね。