ふたにょうの遊び場

年をとってから見返して笑えるようなに。

ぼんやり

暑い、ただただ暑い。大学に行く服装が「お前海に行くのか?」という服装に変わってから2日経った。

夏の合宿に向けてシコシコ原稿をしたためているけど、自分で納得できない。外がない、主人公を取り巻く環境についての説明が不十分、ただ自分が自分を嫌いだからそれを書いているにすぎない。乙倉悠貴を歪ませているのに、歪ませたことさえ満足にかけていない。現実と思われることをかけていない、社会がない。言葉が足りない、。プロットはあるけど、塞ぎがちだ。肯定できない。無駄な文章を積み重ねているように思えるが、それを無駄にしないように展開できる自信がなくなっている。

『冗談』

ミランクンデラ 『冗談』(岩波文庫)感想?

 


僕がこの本を手に取ったのは『リズと青い鳥』を友達(僕を含めて3人)と観に行った時だった。僕らは曲がりなりにも文芸サークルに所属しているから時間を潰す場所といえば本屋ぐらいしかないのだ(それに僕は頻尿だから上映前までコーヒーを飲むのは嫌だったし、待ち合わせまでタリーズでコーヒーを飲んでいたから余計に)。僕は本屋に行って何かを買う気は無かったけど、実際に手に持ってみると買おうと思ってしまうのは不思議だ。この話はここまでにしとこう。

 


ネタバレあり〼

一章、二章を読むと、この小説が僕が感じているような虚しさを言葉にしてくれている気がしてならなかった。事実それは僕に密な読書体験を与えてくれた。七章で構成されている小説が初めてだった。伊坂幸太郎とかは別々な視点から伏線を敷いて最後にパズルを合わせるみたいに回収するけど、この小説は7つのピースからできる1つの小説っていうのが適当だと思う(小説が1つの物語なんだから、ピースが合わないものは小説じゃないと言う声が聞こえそうだけど、パズルの完成形、いわゆる1つの絵が『冗談』は緻密だ、ということを言いたい)。

 


三日間に起こった出来事を登場人物の過去から現在に至る思考様式(独自性?)を描きつつ最終章で大きな渦を作っていた。

あらすじを引用する。

絵葉書に冗談で書いた文章が、前途有望な青年の人生を狂わせる。十数年後、苦しみに耐え抜いたすえ、男は復讐をもくろむが……。政治によって歪められた1人の男の流転の人生と愛の悲喜劇を軸にして、4人の男女の独白が重層的に綾をなす、ミラン・クンデラ(1929―)の最高傑作。作家自らが全面的に改訂した決定版からの新訳。

というらしい。

 


ここから話の内容に入っていく。

 


あらすじだけ読んだら冗談っていうのは、そういう意味でタイトルにされているのか…みたいに思うけど、最終章を読めば、より大きな冗談を感じるだろう。最終章ではそれまで独白をしていた人物たちが同じように冗談をくらう。信じられないことが起こった時、立ち直れないことが起こった時、「これは何か悪い冗談じゃないか?」と思うことがあるだろう。そういうこと。

 


四人の男女(最終章は三人)の独白によって読者に与える当人たちのイメージ、それぞれ過去の経験によって構築された行動/思考様式、あるいはハビトゥス、心(この用語を使っていいのか少し不安だ)が、存在するために起こる他者の存在しない裏切りを終着点としていると思う。他者の存在しない裏切りとは?それこそ過去の自分による裏切りなのだ。あまりにも過去に執着(そうせざるを得ない三人)するために、裏切られてしまう。伝統や性、文化だとかは僕らのうちに内面化され意識せずとも、それに則って行動していると仮定しよう(僕はそうは思えないし、多分みんなそれを知っているけど、不確実性は例外が起こってからじゃないと分からないから。リルケは約束は、それが破られたために語られると『マルテの手記』で書いていたと記憶している)。すると個人の中に入り込みすぎると時の流れによって変化する状況に対応できない。有名な祭りは伝統行事だが観光事業でもあるように、伝統を見ずに消費だけをしていく人間が多くなっているから(僕も含めて)、何かに執着する人間は、置き去りにされてしまう。そしてその裏切りの原因(もっと語彙があれば適切な言葉が見つかるのに!)が過去にあるから、なのに時間は進むから、そしてそれは個人的な意味を持つからこそ、虚しさを感じるのだと思う。共有できない復讐という行為。何を言っているかわからないと思うが、『冗談』を読めば僕の考えに納得できるかどうかはさておき、分かると思う。

 


余談

ジグムントバウマンという学者はリキッドモダニティという言葉で現代社会を表している。固定されたものが液状に変わった。つまり掴まるところがなくなっている、ということだ(あくまで1つの見解だ。そして僕もよく理解はしていないから書くことは躊躇われるけど遊びなので許してちょんまげ)。伝統が失われつつあるというのは『冗談』の中でも同じように触れられている、ここでいう固有なものとは誇りだとか象徴だとかそういったものが集団内で共有されているかで決まる。例えば商店街はその地に根付いている、名前も銀座とか場所によってそれぞれだし、運営している人間もそれぞれだ、これを固有性。イオンモールとかはどこに行っても同じであるからここでいう独自性からは遠ざかるため液状なものとする(『怒りの葡萄』でいう銀行みたいなもんだとも思う。いろんなもんが個人から企業とかいう大きな組織に変わっちまったから、複雑すぎるから、何がいけないのかさえ分からなくなる)。差異による自己表現(小さなナルシズム)と生活のための消費は離れてしまったのかもしれない。言っておきたいのはこの考えが適応されるのは現にそうなっている場合のみで、それ以外には適応できない(つまり社会全般に適応できないことだけど、その中にいる人間には自分を囲んでいる社会に対する考えを与えることが精一杯なのだ、しかしそんなの当たり前じゃないか?根っこの部分は知らんが僕たちと老人では着たいと思う服とか音楽の趣味なんかが違うだろう?)。

 

 

 

僕が言いたいのは結局、『冗談』は、とても面白い小説だということぐらいだ。

四月ごろにクルサーに寄せた現行(少し変えた)

 題名は任せるわ。あるけど言わないわ

 

 

 

その日、移住手続きをするために市役所に向かった。

 私が訪れたのは合併元の市役所ではなく、それなりに愛着のある地元の図書館兼市役所だ。中学、高校の時によく勉強しに来ていた記憶がチラついた。私の住む市は元々一つの町だったが、数年前に隣の市と合併した(厳密にいえば吸収された)。そのため、人口の流出を防いでいるように見える。

 現在この国から隣国へと移住する家族や労働者、学生は後を絶たない。国が人口流出にはどめをかけるために規制をかけはじめたのは今から三年ほど前からだった。それまでは、各々が望む形で移住をしていた。船に乗ってスパンコールが光を反射しているような水面の上を船を使い向こう側まで渡ったり、刃物を使ったり、薬を使ったりして、隣国へと移住を図った。私のような能天気は、その社会的な流れの中で暮らしていても、その流れを意識できず、もっと後からでも移住できるだろうし、その方が安全だと考えていた。

 密出国者が増えていると夕方の報道番組で取り上げられていた頃、本当にそういった事があるのか疑問に思う事も多かった。電車は訳知り顔でレールの上を走り(しかも、車内は満員なのである!)、都会は波のように人が歩いていたし(ずっと繰り返す運動、海に似ている。波は永遠のように打ち寄せ離れていくから)、ごくたまに見るゴールデンタイムのテレビ番組には馴染みのタレントが出演していたから、自分には関係のないし、大したことじゃないと思っていた。

 だが、私が大学に入学した年に、規制が緩和され移住が法的に、公的に認められた事によって明確になった。大学の次年度からの入学者は減り始め、まざまざと流れを見た。大学に入学してしまった以上、それなりに友達が出来てしまった以上は移住することは、それなりの勇気が必要だった。そうして、その事も気にしなくなり、四年になった。私が就活している時には売り手市場とニュースで言っていたし、そのころには地方の私立大学の大半は無くなっていた。

 それなりの危機感を覚え手続きの申請をしたのが一年前の事で、五日ほど前にやっと自分の番がやってきた。暮らしを変わるという妙な期待に感電し、ここ数日の仕事は身が入らなかった。未然に防ぐことのできる失敗を重ね、年配の上司に嫌味を言われていたが、もう少しで移住するのだと思うと気にすることは無駄だと感じた。

 時刻は午後一時半、移住ガイダンスは二時からだ。少し早くついてしまったので煙草を吸っていると見慣れた面影の男が現れた。

 彼は八月のうだるような暑さの中で、わざわざ日陰に入らずギラギラ輝くタイルの上で恨めしそうに眼をすがめて空を見ていた。しかし太陽子が眩しすぎたのかすぐに視線を真っすぐに目に向け、それから、私の方を見た。彼の視線には温度がなかった。

「お、お前、あれだろ」

 どもりながら問いかけると、彼は手を眉に添え私を見た。

「あ、ダッモじゃん。おひさ」

 彼は目を見開き驚いた様子で、私の肩に触れた。この暑さでどうして人に触れようと思ったのか不思議でならない。彼の着ているシャツは大きすぎて見ているだけでも気怠さを感じた。

「ひさしぶり」

私が彼の名前を言う事が出来たのは、そのシャツが彼に好きなバンドをモチーフとしたものだったからだ。まだ、そのバンドが好きな理由を聞けていない。それは少し恐ろしくもあった。

須野とは高校の頃、遊びの延長線上に位置する部活が終わってからも遊ぶような仲だった。だけど、卒業してしばらく会わないと、何を離せばいいのかわからなくなってしまう。須野は煙草に火を点けた。

「今日は暑いよね。一等と」

「そりゃ夏だからなぁ……」

この距離感が懐かしかった。私は過去を生きているような気分になって、中途半端に言葉を発しようとしたが、あーだとか、うーだとか意味のない音を出していた。何か他に言う事がないのか探して、思いついた瞬間に口から出てしまった。

「これだけ暑いと雨でも降れば涼しくなるのかな」

 雨は嫌いだった。夏に来る雨は大抵雷も一緒にやってきて自分の部屋に籠りがちになる。そうなると、部屋で繰り返される空虚さの苦痛が襲い掛かってきて何もしていないのに疲れてしまい息苦しくなるから。

「そうだな」

 私は須野に話す事がなくなってしまったと思った。もう会話は終わり、セミの声ばかりが聞こえてしまう。それはそれで乙なものかもしれないが、吸う息は誰かが顔面に向けてため息を吐いたような気怠さと、それに呼応して得体のしれない熱っぽさが含まれていた。

 じっとりと額に浮かび始めた汗を黒いシャツの袖で拭うと、その様子を見ていた須野が、金属が擦れるときに発する音のような引き笑いをした。私は笑う理由が解らなかったが、その音を聞いて心地よさを感じた。たとえ笑われていたとしても。

「え? 笑う要素あった?」

「うーん、まあ、そうだなぁ。今度はハンカチ持って来いよ」

 彼はくしゃくしゃな笑顔を見せながら、そう言った。私は煙草を灰皿に落とした。ジュ。

「ハンカチは持ってきているんだが?」

「え、なんで?」

「こっちが、聞きたいよ」

 私は彼の意図が分からなくなり、それと同時に彼は私の行動が不可解だと思っているようだった。了解が取れない以上、そして了解を得るためには疑問点を指摘しなければならないが、それによってノロマな感覚を得るのだと思うと、彼との会話を継続するには面倒に思えてきた。私は彼との会話に対して、何らかの利益を欲していた。過去のわだかまりを解決、あるいは吹き飛ばしてしまうような大きな衝撃を求めていた。からまっている過去を失くして新しく交友できるようにと。

 彼の中指と薬指の間に挟まれていた煙草には、火はもう点いていなかった。フィルターの焼ける甘ったるい匂いがした。

 私は彼に移住手続きガイダンスのために、ここに来たのかを聞くべきだったが、それをするわけでもなく、室内に誘った。

 「まぁ、いっか。中入ろうよ」

 彼は「おー」と間の抜けた返事をした。

 

 私たちが同じ目的で市役所に来ていたことが判明し、人で敷き詰められた教室ほどの狭さの会議室の最前席から二番目に座ったのは、ガイダンスが始まる十分前だった。須野が隣に座っていると高校生の頃を思い出す。しかし、パイプ椅子がぎゅうぎゅうに敷き詰められているため、人との距離があまりにも近く、居心地は最悪だった。窓に近い事以外に良い所なんて何もなかった。ここで私が嘔吐したら皆一様に背中を丸めてゲロを吐くのだろうと思い自分を慰めた。それはそれは多様なゲロが、電灯が反射している地面に散らばるだろう。私はそのころには胃の中にある物を吐き出し切り、他人の喉が震える音を聞きながら、不適切な笑みを浮かべ、その光景をうるんだ瞳で見つめているだろう。ピントのぼやけた視界によって現実感が喪失し、それに対して超越的な感覚を呼び覚まし、知らぬ間に自分の中に入り込み、やがて自身を客体化しては二重人格を気取っては、その光景を見ている自分が笑っている事に、感心してしまうだろう。前席に座っている女は日焼け防止のつもりか長袖を着ている。萌え袖だった。おそらくニンジンやコーンなどの健康に気を使っているようなゲロを吐きだす。必死に口を押えても萌え袖で隠しても繊維を抜けて具材のないゲロが現れ、それから息が出来ないため手を顔から離すと袖に形を残したコーンやニンジンがちょこんとあるのだろう。左隣に座っている須野は昼飯を抜いているのか味噌っかすみたいのゲロを吐きだす。右隣に座っている緊張からか強張っている面持ちのじゃりっぱげの中年は、出来うる限り嘔吐感をこらえながら室外に出ようと経路を探すのだが周囲にはゲロを吐き動けない人間ばかりであることに気付き、混乱した頭で尊厳を保つためにはどれが最善かを必死に考え、何をトチ狂ったか窓を開け二階にあるこの会議室から、外に向けて吐き出すだろう。落下地点にある花壇にはゲロが降りかかり、蜜を取りに来ていた虫や蝉の死骸は全身にゲロを浴びる。

 私が妄想をして不快感を打ち消そうとしていると、須野がいかにも重要な事のように声のトーンを落として話しかけてきた。周囲のはしゃいだ子供のような会話が邪魔でほとんど耳に入って来なかった。須野の声は低く、加えてくぐもっているから余計に聞き取りにくい。中学の頃も同じようなことが何回もあった。

 私は「何言ってんのか分からないよ」と聞き返したが、それも須野委届いているか怪しかった。だからと言って大きな声を出すことは躊躇われた。

 私は仕方なしに、手に持っているプリントの束をパラパラとめくりながら読み流していたが、半分も行かないうちにガイダンスが始まってしまった。

 それはとても退屈だった。柔和な態度で語り掛けるように喋る男は、本当に移住したいのか自分自身で考えてくださいという話を、統計データと自国の現状を交えながら何度も言い換えながら繰り返す。マイクを握っていないほうの手は、せわしなく動き続けていた、数字を数えるように一本ずつ畳んだり、掌を見せたり、また握りこぶしをつくったり。その動作は、この説明を何度もやってきた人間だからこそできる事だった。既に彼は私たち移住希望者に興味や引き留めようとする意志さえなく、ただ一つの慣習として説明をしているに過ぎないのだ。

 十分ほど経った時、私は睡魔に襲われ、吐き気と混ざり合ったそれに耐えるように自身の舌を強く噛み、苛立ちで膨らんだ意識の中に押し込んだ。誰かが銀色に鋭く光る針で突いてくれたら楽になるのかもしれない。

 ついに睡魔が吐き気に競り勝ち、私は船を漕ぎ始め、そこに居ないマイケルという存在に漕げよと急かされながら、なんとか起きているつもりだった。マイケルが船を漕ぐ目的は川の向こう側に居る母親の下に行きたいといったもので、私はただ手を貸しただけなのになんでケチ付けられなきゃいけないんだと脳内劇場を繰り広げながら。

 睡魔の波を越え、まだぼんやりとしている意識で顔を上げると、私に対して多くの視線が注がれているのに気付いた。

「はい、みなさん。ここからは大切な話なので、しっかり集中して聞いてください。くれぐれも居眠りをしないようにお願いしますよ」

 スクリーンの前で喋る男がそう言うと、周囲から忍び笑いが起こり、急に喚きだして部屋を飛び出したいという衝動にかられたが、私は移住がしたくてここに居ると再確認し、輪郭が把握できるほど熱くなった顔と耳が平常に戻るのを、じっくり待った。

 もうすっかり目が覚めてしまった私を須野は励ますためか、それともからかうためか白目をむいた顔を見せた。それを気にせず、前に居る女の頭をなんとなく見た。首筋からつむじまで視線を彷徨わせてから、スクリーンに視線を戻し、清潔感の塊のような説明者を眺めた。ノリの効いたワイシャツと固められた髪の毛、どこか機会じみた説明が、退屈だと感じる理由なのだろうか。

 ガイダンスはきっかり二時間で終わった。大切な話だと言われた部分は書類の記入事項の事で、どこになにを記入するのかを、単に説明しているだけだった。終わってみれば、こんな簡単なガイダンスでいいのかと疑問に思ってしまう、物足りないな、と思いながら須野の背中を追いかける。

「お前、暇かい?」

「暇」

「なら、ちょうどいいね。この後ちょっと買い物に付き合ってくれないか」

「しれは面倒だなぁ」

「そうか。じゃあ喫煙所行かないか?」

「それも嫌だなぁ。人が多いと気分が悪いし、どうせ喫煙所もそれなりに人がいるし外だから暑いし、なんだかなぁ」

「それなら、飲み物でも買って落ち着いてから喫煙所、行こうよ」

「いいね」

 私たちは一階に降り自販機でジュースを買う。そして昼過ぎには老人たちが談話しているスペースに向かい、小さなベンチに腰掛けた。日が伸びたにもかかわらず、明るい室内に老人の姿が見えないと違和感が残った。

「それで、そうなの最近」

 地域ボランティアの募集や、マラソン大会の出場者の募集、混沌こそ我が墓碑銘と書いてあるポスターなどが貼ってあった。

「特に何もないなぁ」

 多分、本当にいつも通りなんだろうけど、そのいつも通りが知りたいと思った。

「須野はなんの仕事してんの。ぷー太郎?」

「ぷーではないけど、まぁそれに近いフリーターってところかな」

「じゃあ、あれだ夢追い人だ。何かなりたいものとかあるの?」

「そりゃあ、あるさ。まずは水原キコ、次に石原さとりに新垣唯、次に田中マルクス闘莉王、木とか数えればきりがないくらいに」

田中マルクス闘莉王

「逆に、お前はなりたいものとかないの?」

「特にないなぁ」

 確かにガッキーにはなってみたいけども、あくまで憧れの存在だ。ガッキーの顔になってもやりたい事はない。

「というか、それは本当になりたいものなのかい。WISHなんじゃないの? HOPEではなく。俺が聞きたいのはHOPEの方のなりたいもんだよ。何か目指しているものとかないの?」

「バンドマンになってヒモになる!(音楽で飯を食う!)」

須野が即答した言葉は、僕からしてみれば現実離れしていて聞いた瞬間は違う言語化と思った。やっち脳が追いついた時に自然と口角が上がっている事に気付いた。これは納得から出てきた安心の笑みだ。

「なるほど、なるほど。確かに須野は音楽が好きだったし、ギターが家に会ったなぁ。今日もバンドTシャツ来ているし。楽器は何やってんの?」

「ギターボーカルやってんだ。俺はやってやる。こっちでは芽が出なかったけど、向こうはロックがヒットチャートを独占しているらしいからな。出来ない事じゃないと思う」

 私は彼が移住する理由に対して、心がすこぶる動かされた。

 

 移住日の朝、起きると蚊に刺されていた。夜中に一度目が覚めて薬を塗った事は覚えているが、窓は開けっぱなしで占めるのを忘れていた。香取ベープのスイッチは入っていたのだが、駄目みたいだった。

 夏の朝は涼しい。日が昇り切らないうちに家を出ると嘘みたいに清々しい空気が肺の中に入ってきた。

 一度市役所に集まり、バスで国境近くにある検問所を経て、入国することになる。ガイダンスで説明された事なのだが、海外旅行と同じようでいて大きく違う点が二つあるらしい。入国できるのは移住を前提とした者のみである事と、もう一つは忘れてしまった。すぐ忘れる癖は直した方が良い。

 市役所まで歩いていると、同級生が住んでいた家が売りに出されていた。彼も移住したのだ。もしかしたら、向こうで会えるかもしれない。そう思うと気分が晴れた。犬の散歩をしている女とすれ違い、小さな公園を横切るとラジオ体操をしている小学生たちが見えた。

 坂道を登っていると、小学生が自転車のペダルから脚を放し、涼しい風を思う存分感じながら下って行った。

 冬には剥き出しの枝を見せていた木々も、緑色の葉に太陽の光を反射していた。横断歩道を渡っていると、葬式の案内用看板が置いてあるのに気付いた。久しぶりに見た気がする。

 途中で須野に会った。どうせなら一緒に行こうという事になった。彼は私が背負っている荷物を訝しげに見つめてから前を歩き始めた。散歩ほど歩いたところで的を射抜くように短く息を吐いた。

 市役所に集合時間ギリギリに到着した。職員に名前を告げると私と彼が最後らしかった。職員が号令をかけ、今日の予定を話し始めた。その時に、ようやく、誰も荷物を持ってきていない事に気付いた。隣にいる彼に尋ねると、荷物は持ち込めないから誰も持ってきていないという事だった。なんで教えてくれなかったのかと聞くと、聞かれなかったしガイダンスで言っていた、と返ってきた。

私は荷物をどうするか決めかね、職員に聞いて、そこに置いておいてくれれば処理します、と言われたので、自販機の横に荷物を置いて、バスに乗り込んだ。

 

 

 

 

書くのって難しい。隣国は黄泉の国をイメージした。つまりこいつらは集団で黄泉の国に行こうとしている訳でな。

これを書こうと思ったのは、成人式に友達が来れなかった事と、座間の集団自殺事件(今調べたら自殺志望者を集めて殺人していた事件だった)があったからなんですよね。

しかもツイッターを使って連絡していたっているもんだから、SNSって怖い所もあるよなって思ったので。

それに自己責任だっていう意見もあって、それでもやっぱり僕はなんだかなぁと思うんですよねぇ。死んでいるのに責任も糞もないのに誰に向かって呟いているんでしょうか(ここらへん、僕もよく覚えていない。けど、そういう人だって不安を持っているんだろうと根拠もなく思っているのは俺がネガティブなせい?書いたの二月だもん、動機を覚えてられないし、この理由だってもしかしたら分かりやすいように曲げてしまったかもしれないもん。駄目だなぁ)。タイトルですけど、ないがいっていうんですよね。内外と無い外と無い害でないがいです。けど、この分け方は良く無いのかもしれない。2つに分けるのは理解とか考えやすくなるけど、どちらにも属さない何かが出てくるから。男と女と中性の方とかみたいに。知らないうちに排除してしまうのは嫌だから。

 

多分さ、最後の部分で握りこぶしを作ったとか書けば、ああこいつは何らかの感情を持ったんだと分かるけど、実際さ裏切られたわけじゃないし全部自分のせいだから、けど自分を否定したくないから書けなかったんだよ俺は

映画について

最近リズと青い鳥を観に行ったんだよね。感想としてひねり出せるのは凄かった、というめちゃボキャ貧。

なんというか、映画を見ているのに考えているのは自分のこと、みたいな感覚みたいになったんだよね。いや、これは登場人物が自分に似ているとか、自分を重ねているとかでもなくて、ただ自分との対比があった。それはつまり繊細に書いてあったってことなんだろうな。

あの映画すごいよね。ちゃんとコミュあって良かったよね。

 

 

恥ずかしいから言わなかったけど、照明がついた後に身体に力が入っていたのに気づいたんだよねぇ。

オーソドックス。オートバックス。ホットドッグ。人間ドック。チェックチェック心電図。

ゼミが始まった。実習が始まった。就活の準備も始まった。

大学でのゴールは一体どこにあるんだろう。社会に出るまでの執行猶予?それともこれから社会に出るということは出発点?それとも学問の終着点?よく分からん。たぶん全てなんだろう。

色々とわかり始めているようで、いつも全く分かっていない。知りたいの先にあるのは狂気か?僕は人並みにそれを求めている。

僕は僕という人間に対して(この考え方はとても好きにはなれないが)、軽さを感じている。中身がない人間なのだ。責任を負いたくはないし、だからと言って何もしないでいると、昔と同じ袋小路(ここで韻を踏もうとしているよ!)に入って行くのが目に見えてわかる。夕暮れが高校時代と態度を変えて辛辣な目をして来るんだよ、あれは良くない。しかし高校時代を振り返って夕焼けを見て心が凪いでいたとしても、それはクソみたいな考え方だったんだ、これは青春とかいう文字に恋をしていたのかもしれない。幸いバイトやら課題やらで夕暮れに殺されかけることはないにしても、やたらめったら自由!(考えることは尽きないし…)。自由について書くのはとても勇気が必要、みんな自由だから人の自由に対して自由に自分の意見を言えるんだもの。かといって閉口してたら知らずの内に頭をヘーコラヘーコラ(誰に?)そう、なんつーかもう共通したものがない。強制力のあるものがあるのか?明確な敵はいないから、何かを対策する必要も気概もない、自分で仮想敵を作り出さないと元気に生きていけないんじゃない?なぁここは平坦な戦場から確かなものがない日常になってしまったの?裏切りではなく嘲りを、自己責任もそろそろ限界かも。転がる岩みたいに苔がわかないで、削れて新しいまま?目が回ってしまうよ。やらなきゃいけないことよりも、やるべきことが多すぎるよ。優先順位がうまく作れないんだ。

多様化も良いもんだけど、俺は人それぞれだよねっていう言葉に対して異常な軽さが存在していると思っている。あれほど無責任で他人事で説明放棄(俺も全く同じことをしてしまうことがある。それは優しさではないんだろうな)。オタク文化のパンク、所属サークルの部誌の題名はパンク!もう二次創作が拍車をかけてアニメも飽和状態、バズみがあれば、面白いと感じる人間がいるなら、どんなにつまらないアニメも地上波(ここはとても傲慢で主観で主観に対する意見を言っている最悪。かといって、どうすればいいのか分からない)。なぁ、そろそろスーパースターが出て来てほしいよ。こんなこと言ってるけど俺はクズなんだよ。理想論に目が絡んでいるだけかもしれない盲目にでもなれたら楽なんだよ、きっとさ。僕もみんなも頭だけ優しいから。身体は冷たいかも。冷たい体で話す知人の(物差しを使った)見極め。

こんばんはなのかどうかはさておき

どうも、みなさん。僕は今どこにいるかわかります?あ、いや別に認識論的な事を言おうとしてるのではなく、名前の付いた土地にいるかどうかです。

あのですね!僕は今マックに居るんですよね。本当にどうでも良い事だと思うんですけど、吐き気に抗えず途中の駅で吐いたら終電がなくなってしまって、もうこりゃ泊まりかな〜と思いとりあえず大宮にいるんですよ。

そうだ、今回の飲み会は楽しかったね。トイメンの2人とはあまり喋れなかったけど横にいた人とは喋れたと思うし楽しかったね〜。別にお酒に強くなろうとは思っていないんだけど、やっぱり体内除菌(アルコール消毒)に強かったらという仮想してしまうな〜。本当に二軒目で飲んだ時に言われてから気づいたんだけど汗を結構かいていたみたいで、やっぱり上限は9杯ぐらいまでなのかなと基準を設けたよ。まぁこれからの飲み会でどうなるかとかはよく分からないんだけど。

んでマックで夜を明かすわけだけど、以外と終電を逃す人が多くて笑っているんだよね。これが初めてだから終電を逃した人が辿り着くのは居酒屋で適当に飲んでいたりするのかなぁとか思ってたけど、マジでそれは酒豪だな。普通にマックでマターリしてんね。タクシーは普通に走ってるし、駅前に暇そうな人が居たりと面白いなぁと思いました。

明日の予定がある人は寝て、予定がなんもない僕は意味もなく徹夜して、たまらねぇぜ。さて、今夜のアルバムはtofubeatsのFirstalbumです。夜が明けるまで終わらないダンスをヘビーチューンチューンです。

なんか今思ったんですけど、朝焼けとか東雲を見るのは本当に数年ぶりなんだなぁと感慨深げに心の中で頷いています。朝焼けを見たのはコミケの時以来だから、3年ぐらい前かな?ところで、朝の空気感ってよくないですか?イギリスに旅行に行った時もみんなが起きる前に外出してたんですけど、あの澄んだ空気が良くないですか?なんか人が吐いた息が少なくて、ピチピチのチャンネーの感じがします。それか幼な子とかかな?Yesの曲に燃える朝焼けって曲があると思うんですけど、あれは観測者として起きた自分が保有する朝焼けのイメージが強いと思っています、なので朝の空気感は自分を忘れさせてくれる自然との接触なのでは?と思います。いや、何言ってるか分からないんだけど。

ああ、ジッポーを頼んだってツイートしたんですけど、本当は痛ジッポーとかやってみたかったんですけど、なんか自分が好きなキャラを限りなく黒に近いグレーに持っていくのは気が引けて、それなら著作権の切れている詩を掘ってもらいました。その詩がディラントマスのdo not go gentle into that good nightから取ったものなんですよね。こんな事書くと怒られちゃうかもしれないけど、1つの単語を変えてしまったんですよね。old ageってところをold manにしたんですよね。それを変えてみて分かったのは本当に詩っていうのは凄いもんなんだなぁと。韻を踏んで、こう、なんていうの? 流れがあって、僕はそこでようやく面白いなぁと思いました。人間の身体に血が流れるみたいに詩にも血のような何かが流れていて、あーーーーーと意味もなくほくほくな気分になりました。けど、僕は改変してしまって凄い利己的なのかながとか少し思った。けど、やっぱり自分が使うものだから自分の影を残しておきたくて変えてしまった。だって僕は老人でもない。なら親しみがあるold manという言葉を使うことによって、20歳の僕が数十年後の僕に「ねぇ君」みたいに呼びかけて欲しいから。なんつーか、ブレたくない?芯みたいなのをさ持っていたいから。やっぱり終わる時に諦めるんじゃなくても抵抗していたいじゃんか?そういう羽根飾り(そう、それは心意気!)を染みなく持っていたいね。

このブログは夜が明けるまで書き続けることを制約にして書いているから、相当長くなるかもね。現在四時二十分。

今どうなっているんだろうね。ゼミとかどうなるんだろうね。東京オリンピックで日本が盛り上がるのかな?そしたらいいよね。みんな1つになるというか、まぁそんな感じ。変な人とか出てきちゃったら僕はどう思えばいいんだろう。日本の恥だと貶す事もできるけど…。日本ってどんな国なのか、今はよく分からんというか考えたくない時がありませんか?嫌な部分が大きいから。なんで複雑なんだろうって思っちゃうけど、それは成長しているからだと思えば良いのか?それにしても臨界点を迎えている気がする。

今度サークルで出すコバナシは二次元と三次元の話を書きたいなぁと思っています。マジで俺の嫁が子供を産んだ世界線みたいな。アスナとオタクの子供とか書きたいね。初音ミクの子供は声に抑揚を失いがちみたいな?けど成長するにつれて抑揚は悪目立ちするものではなくなるという感じで。んでパンピー的な二次元三次元ハーフは影を失いがちとか書きたいけど、普通にキービジュアルとかの立ち絵は影ある場合が多いから、どうしよっかなぁーとか思ってて、多分このネタは書かないと思う。三次元の影が二次元なのに二次元の影が1次元になるべきだと思うんだよね。なんだっけ4次元の発見は五次元の影によって証明されるみたいなやつなかった?すばひびだったけか?

まだ夜は明けない。

僕の好きな事で胸を張って好きと言えるのはサッカーだけかもしれない。音楽も小説も趣味というにはたくさん読んだり聴いたりしていないから。サッカーは12年間やって来て、やっぱり好きだと言える。まぁ海外リーグとかは全然詳しくないし、あんまし見ないんだけど。情報の蓄積が趣味と決定する基準だとしたらサッカーは全然満たしていないんだけど、なんだろう、好きなチームがあって好きな選手がいて、好きなスタジアムがあって、好きなチャントがあって、サッカーもルールの上で行われるスポーツとして括るなら上手く他のスポーツと差別化できるような語彙は持っていないんだけどさ、とてもエキサイティングなんよ。例えばグラウンドの上で体がぶつかり合って、点を取り合うと言えばラグビーも候補として上がるじゃん。んで手を使ってはいけない(ゴールキーパー以外)というところを切り取れば差別化出来るんだけど、そこが好きっていうわけじゃないから。なんだろう、もっとサッカーっていう色々な要素があるものが好きだから、ここが好きみたいには言えないなって思う。もっと文章が上手い人なら、ちゃんと面白さを伝えることができるんだろうけど、百聞は一見に如かずみたいに、POWERがあると思う。

あと1時間ぐらい待たなきゃいけないのか。もう書こうとは思えないな。

ぐちゃった

 リオは覚えていないだろうと思われる僕の秘密を君に話そうと思う。リオの妹であり、僕の妹であったはずの悠貴、その君も覚えているかは誰にも確かめられない秘密。僕とリオが出会ったのは海も山もない郊外のイオンモールの喫煙室だった。その時間帯には僕とリオしか煙草を吸う人間はいなかった。そしてリオは、君の姉は未成年であるのにも関わらず煙草の吸い方を、躊躇いもなく、かといって臆病にでもない、ただ煙草を吸うためだけに僕に父親からくすねてきた銀色のジッポーを渡し、自分は乾燥して白くなった唇にキャメルを咥え、ラクダのようにうっとりとした心地で僕が火を点けるのを待っていた。その日は中学時代の友達の命日だったから墓参りに行って、その子が好きだった小説と漫画を買っていたのだ。僕がそうした死人を弔う意味も込めて買った漫画を、帰ってから彼が死んだと聞いてから一回も泣かなかった自分への訓練として、彼の好きな物を自分の好きなものに置き換えるために僕は煙草の匂いを染み付けようと半日の間、喫煙所に居続けたのだ。そうして、ずっと彼の好きだった音楽を聴きながら、目を閉じ、半ば償いの気持ちで彼が失った時間を思い浮かべ、彼が何故死んだのか、どうのように死んだのかをできうる限り考え、想像した。暗澹の中で、不器用ながらに踊る彼を想像した。エイトビートも知らないガキだった僕、夢を見るのに夢中だった彼、その不連続になった関係を少しだけ懐かしみながら。僕が貧乏ゆすりをするようにリズムを取っているとリオは、まるで兎に触れるように柔らかい掌を僕の肩に置き老夫婦の会話のように相手の意を介さない頼みごとを言った。それが火を点ける事だった。僕は、彼女の姿を見た時に、恥ずかしい話なのだが、僕は言いようのない不快感を抱いたのだ。僕には慢性的に尚且つ衝動的に自殺したくなる時があるのだが、彼女はまさにそれらの媒介となる人物だった。しかし、僕も彼女にとっては媒介物に過ぎなかった。吸い殻が湿った匂いが充満した部屋の中で、彼女の顔を見ていると、頭に血が上り犬のように威嚇としての舌打ちをしたのだが、リオは僕が舌打ちをした理由が解らず不思議そうにもう一度僕に火を点けるように頼んだ。僕は抑えられない怒りの中で彼女の素朴で整った顔立ちに引き込まれかけていたのも事実だった。悠貴も知っている通り、リオは男が自分の身の丈に合った女性だと思い込むには格好の的だったのであり、それ故に彼女は男に嫌悪感を持ち自分とは違う人間なのだという異化に成功していた。僕もその他の男と同じく彼女の普通という特徴に落ち着きを覚えていたし、見られる事を望んだ。そして、煙草を咥えキスを持っている顔、リオの煙草に火を点けた。彼女は火を点けることが出来なかったが、僕は何も言葉を持たなかった。白状してしまうと、僕はジガーキスを行った。彼女がフィルター越しに息を吸い込めば、電灯に照らされレモン色の煙が上に伸びるのだが……。

 リオの顏に近づけば近づくほど僕はより強い不快感の渦に居る事を自覚し、その抵抗のできない濁流の中で免罪符を得た人間として開放された厭世観を次第に受け入れ始めていた。リオは僕の煙草の匂いが自分の物だと錯覚して煙草に火を点けることに成功した。そして、リオは目を開くと僕の不健康で濁り切った瞳と凹凸のある不衛生な肌を目にしてしまい、父親の物だと思われるコートの裾に隠れた手を僕の顔に叩きつけた。僕は、この時やっと自分が何をしてしまったのかを理解し自己嫌悪の底に触れた。これが、出会いだった。

 僕とリオが仲良くなったのは、もっとも出会う可能性が低いと思われる場所、ロンドンに旅行に行った時の現地ツアーで、集合場所近くのスーパーにて水と朝食のサンドウィッチを買っていると見覚えのある顔が先に会計をしているのを僕は恥じながら認めた。悠貴、君はそのころリオと同じ高校に入学するために勉強に追われていたと思う。そして姉が自分を差し置いて遊びに行っているなら、角ばったところのない特徴的な丸顔を持つ君は怒ってもなおどこか可愛らしさを残しながら机に向かっていただろう。彼女は僕の顔を見ると最初に出会った時とは違う、あどけなさと悪戯好きの子供のように好意的な笑みを見せたのだが、僕はリオが異国の地に居る事にひどく違和感を覚えたのだ。言ってしまえば運命という言葉で片づけてしまえるような事に対して、僕の育った寂しさと開放感の同伴した、ジレンマに動けずに怒り狂う大人と疲れ切って廃れてしまった大人が作り出す、北海道の最北端の空気をどこか想起させるような顔立ちのリオとの再会を強く反発する心でどのように整理すればいいのか判らなかったのだ。悠貴、反発はそれが強ければ強いほど大きなエネルギーを生み出すものだ。僕はリオに対して抑えきれぬ興奮を顔に描きながらロンドンに居る理由を聞いた時、隆起していたリオの股間に目が離せなくなってしまった。つまりギターアンプのボリュームをあげっぱなしの状態でシールドを接続した時に鳴るノイズを聞いてしまった気分になったのだ。リオの股間は薄いピンクのスカートでは抑えきれないほどに。そして、それを見た僕も知らず知らずのうちに彼女とは釣り合わないペニスでジーンズを圧迫していたのだが……。